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デジレ・ランカトーレ&セルソ・アルベロ デュオ・リサイタル

デジレ・ランカトーレ&セルソ・アルベロ
(デュオ・リサイタル)
Desiree Rancatore & Celso Albelo , Duo Recital

 それは、至福の体験だった。
 今思い返してみても、その場にいた時間の一瞬一瞬が、光を受けて輝く金の粒のようなまばゆさでよみがえってくる。

 2011年の9月、ボローニャ歌劇場が来日公演で披露したベッリーニの名作《清教徒》。そこで繰り広げられた「声」の響宴は、当初予定されたファン・ディエゴ・フローレスの降板を補ってあまりあるできばえだった。 その成功の核心にいたのが、エルヴィーラを歌ったデジレ・ランカトーレと、フローレスのピンチヒッターとしてアルトゥーロを歌ったセルソ・アルベロであったことに異論はないだろう。

 アルベロの噂はきいていた。スペイン生まれ、ノーブルな声の持ち主で、高音が楽々出せて、レガートが美しく、息の長い旋律線が勝負のベッリーニをはじめ、ベルカントの作品にすばらしい適性をもつまれなテノール。 《清教徒》はボローニャで、フローレスとダブルキャストを組んで歌い、大成功を収めたことも聞き知った。以前東京で開かれたリサイタルは都合がつかず行けなかったが、録音は聴いた。だから、代役が彼と決まった時は、失望が一転して期待感に変わったほどだ。
 期待は、十二分に満たされた。豊かな体格から湧き出る、豊饒で、やわらかで、ちょっとくすんだノーブルな味わいを併せ持つ「声」の魅力。楽々と上り詰める高音はパワフルで、頂点で放つときの明るさと輝きは、 パヴァロッティを彷彿させた。超難関とされる「ハイF」にもあっけなく到達したけれど、それよりも何よりも、弧を描くように歌い上げられる旋律が、そして「歌」全体が美しく、あたたかみをもって呼吸していた。 フローレスが聴かせる、すみずみまで完璧に磨き上げられた硬質の輝きとはまた異なった、人間味のあるベッリーニ。ひょっとしたら作曲家はこのように歌って欲しかったのではないだろうか、そう思わせてしまうだけの力が、アルベロの声にはあったように思う。
 ランカトーレも素晴らしかった。イタリアが生んだ新世代のベルカントソプラノとして、世界の第一線で活躍する彼女。個人的には、フィレンツェで聴いた《リゴレット》のジルダが忘れがたい体験だった。 名アリア〈慕わしき人の名は〉の最後を、どこまでも軽く高く繊細に、まさに宙に消えいるように聴かせてくれたソプラノは、ランカトーレくらいしか思い当たらない。

 来日も重ね、きらめく高音とチャーミングな人柄で日本のファンを魅了してきた彼女だが、《清教徒》でのお目見えは初めて。ウィーン国立歌劇場をはじめ世界中で歌っている得意な役のひとつだけに期待も大きかったが、見事に応えてくれた。 細工の施された金の装身具のようなこまやかなきらめきに満ち、しなやかで強靭で、会場のすみずみにまで届く豊かさを備えた高音。恋人の裏切りに狂う繊細な乙女の心に自然に寄り添わせてくれる、成熟した表現力。彼女ならではのチャーミングな愛らしさも、 エルヴィーラの役作りには向いていたように感じられた。〈狂乱の場〉も素晴らしかったが、第3幕でのアルベロとの二重唱では、ベッリーニの旋律のあまりの美しさに涙ぐんでしまったほどだ。音楽が美しすぎて涙する、 その幸福感のなんという陶酔!ベッリーニの音楽があれほど美しいということを、未熟な筆者はあの時まで知らなかった。

 2人がもたらしてくれた幸福感は、「歌」のすばらしさにとどまらなかった。ハイライトを歌い終えて満場の喝采に応えた2人が、姉と弟のように嬉しそうに抱き合い、讃え合った姿も、音楽でやわらかくなっていた私たちの心にじんと届いたのだ。 その人間味溢れるステージマナーには、たんなる急場を乗り越えたという以上の充実感と歓びがあった。客席が割れるような歓声で応えたことは、言うまでもない。
 その2人によるデュオが、このたび実現する。《ルチア》や《愛の妙薬》といったドニゼッティの名作を中心に、ベッリーニ、そしてマスネやグノーといったフランスもののアリアまで、2人の持ち味が存分に生かされたプログラムだ。 個人的には、最後に置かれたベッリーニの《夢遊病の娘》のデュオに、いちばん惹かれる。夢のなかにいるような美しさで宙を舞い、からみあう、ベッリーニの旋律の醍醐味が味わえるだろうと想像すると、今からたまらなくわくわくしてしまう。
 共演の機会も多い2人は、実際姉と弟のように仲良しで、ステージでの息もよく合っていると評判だ。そのような空気は、何より聴き手をなごませ、楽しませてくれる。《清教徒》に接したオペラファンならそのことは体験済みだけれど、オペラ全曲とはまた違う、 この2人の共演でしか体験できないだろう時間を、一人でも多くの方々に共有していただければと心から願う。至福の一夜になることは、間違いないだろうから。

加藤浩子(音楽評論家)

 
曲目

前半

ベッリーニ:《カプレーティ家とモンテッキ家》~“おお、幾たびかあなたのために”♥
V.Bellini: «I Capuleti ed i Montecchi» ~“Oh! Quante volte”♥

ドニゼッティ:《愛の妙薬》~“人知れぬ涙”♠
G.Donizetti :«L’elisir d’amore» ~“Una furtiva lagrima”♠
      :《愛の妙薬》~“そよ風に聞けば”♥&♠
      :«L’elisir d’amore» ~“Chiedi all’aura”♥&♠

グノー:《ロメオとジュリエット》~“私は夢に生きたい”♥
C.F.Gounod : «Roméo et Juliette» ~“Je veux vivre dans cerêve”♥

マスネ:《ウェルテル》~“春風よ、なぜ私を目覚めさすのか”♠
Jules Massenet : «Werther» ~“Pourquoi me réveiller, ô souffle du printemps”♠

ドニゼッティ:《連隊の娘》~“何ですって? あなたが私を愛している?”♥&♠
G.Donizetti : «La fille du résiment» ~“Quoi! vous m’amiez?”♥&♠

後半

ドニゼッティ:《ランメルモールのルチア》~“そよ風にのって”♥&♠
G.Donizetti :«Lucia di Lammermoor» ~“Verranno a te sull’aure”♥&♠
       : 《ランメルモールのルチア》~狂乱の場
       “あの方の声のやさしい響きが・・・・苦い涙をそそいでください”♥
      :«Lucia di Lammermoor» ~ scena della pazzia ♥
       : 《ランメルモールのルチア》~“わが祖先の墓よ”♠
      :«Lucia di Lammermoor» ~“Tomba degli avi miei ”♠

ベッリーニ:《夢遊病の女》~“そよ風がうらやましい”♥&♠
V.Bellini  : «La sonnambula» ~“Son geloso del zefiro errante”♥&♠V.Bellini

演奏家の希望により、曲目等公演内容に変更が生ずる場合もございます。
あらかじめご了承ください。
※未就学児童の入場はご遠慮ください。

デジレ・ランカトーレ&
セルソ・アルベロ
デュオ・リサイタル

2012年4月24日(火)19時
Thursday, 24 April 2012 at 7p.m.

東京オペラシティコンサートホール
タケミツメモリアル

Tokyo Opera City Concert Hall
Takemitsu Memorial

ピアノ:アントニーナ・グリマウド
Piano:Antonina Grimaudo

チケット発売日

友の会優先発売:好評発売中
DM会員優先発売:好評発売中
一般発売:好評発売中

チケット価格

S:¥15,000
A:¥12,000
B:¥9,000
C:¥6,000

お問い合わせ・お申し込み

東京プロムジカチケットデスク
03-3372-7050

お問い合わせ
 

チケットぴあ(Pコード 153-532)
0570-02-9999

イープラス
http://eplus.jp

東京オペラシティチケットセンター
03-5353-9999

東京文化会館チケットサービス
03-5685-0650

主催:
東京プロムジカ

後援:
イタリア文化会館
スペイン大使館

制作協力:
アリタリア-イタリア航空

 
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